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家事 / 離婚の金銭の問題

婚姻費用分担請求

 婚姻費用とは、夫婦が通常の社会生活を維持するのに必要な生活費をいい、衣食住の費用・医療費・交際費・子供の養育費(監護費用)・教育費等が含まれます。婚姻が破綻して別居に至った場合に、生活に困った配偶者から他方の配偶者に対して行うのが典型的な例です。
分担額は、夫婦間の協議で決めます。協議で決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申立てます。調停でも合意が成立しなければ、家庭裁判所の審判で決めます。
分担額の決定に当たっては、調停、審判において算定表が広く使用されている実情にありますが、別居に至った事情、夫婦関係の破綻の程度、破綻に対する当事者の責任の程度、当事者の資産・収入その他一切の事情も考慮されてケースバイケースに決定されます。
いつからいつまでの婚姻費用分担金の請求が認められるかですが、一般的には、「調停・審判の申立時から離婚または別居が解消されるまで」とされています。

財産分与請求

 財産分与請求とは、離婚をした者の一方が相手方に対して財産の分与を請求することをいいます。(1)婚姻中の夫婦共同財産の清算(清算的財産分与)、(2)離婚後の経済的弱者に対する扶養料(扶養的財産分与)、(3)離婚による慰謝料(慰謝料的財産分与)といった3要素があります。

(1)清算的財産分与

 婚姻中に形成した財産の清算です。たとえ一方配偶者の名義であっても、他方の協力・貢献があったからこそ形成維持された財産については、離婚の際に貢献の割合に応じて清算されます。

(2)扶養的財産分与

 夫婦の一方が離婚によって生計を維持できなくなる場合に、他方に対し請求するものです。請求者に要扶養性があり、義務者に扶養能力があることが必要です。清算的財産分与も慰謝料も請求できないか、できたとしてもそれだけでは生活を維持できない場合に、これを補うものとして請求が認められます(補充性)。
扶養の額や扶養の期間の算定に際しては、夫婦の資力、婚姻期間、夫婦の年齢、離婚後の一方配偶者の生活の不安の程度、夫婦の病気、破綻の責任、子の養育費などが考慮されます。

(3)慰謝料的財産分与

 財産分与の額を決定するに際し慰謝料の要素も含めることもあります。後日の紛争を防止するためにも、財産分与に慰謝料を含んでいるか否かを明記しておくべきです。
財産分与に慰謝料が含まれており、精神的損害に対して十分に補填されている場合は、別個に慰謝料請求をすることはできません。財産分与に慰謝料が含まれていない場合、あるいは、含まれていたとしても精神的苦痛を慰謝するに足りない場合は、別個、慰謝料請求ができます。

慰謝料請求

 相手方の有責行為によって離婚に至った場合、これによって被る精神的苦痛に対する損害賠償請求を慰謝料請求といいます。
慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償(民法709条、710条)ですが、財産分与の一部として支給されることもあります。
慰謝料の額は、夫婦間の協議で決めます。協議で決まらない場合は、調停、もしくは地方裁判所に提訴して決まります。ただし,離婚訴訟と同時に慰謝料請求をする場合には,離婚訴訟と併合して,家庭裁判所に請求することもできます。
慰謝料の算定に際しては、不貞行為や暴力などの有責性の態様・程度、精神的苦痛の程度、婚姻期間、当事者の年齢、当事者の資力や社会的地位、未成年の子の存在などを考慮して決定されます。金額は、平均で200万円くらいです。

第三者に対する慰謝料請求

 夫の親などの親族が原因で離婚に至った場合や、不倫が原因で離婚に至った場合は、親族、不倫相手に対して、精神的苦痛の慰謝料として損害賠償請求ができます(民法709条、710条)。
慰謝料の額は、当事者の協議で決まらない場合は、地方裁判所に提訴して判断されます。
慰謝料の算定に際しては、婚姻期間、子供の有無、不貞行為の頻度・期間、相手方の支払能力や社会的地位などを考慮して決定されます。相場は100万円~200万円です。


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